青春18きっぷ(せいしゅんじゅうはちきっぷ)は、JR旅客会社の普通列車・快速列車が一日乗り放題となる、期間限定の特別企画乗車券(トクトクきっぷ)である。使用年齢に制限はない(小人大人の区別もない)。なお、本項では前身である青春18のびのびきっぷについても記述する。
青春18きっぷ(使用済み券)18きっぷの概要
旧国鉄時代に増収策の一環として企画された「トクトクきっぷ」(特別企画乗車券)。主に学生などの春季・夏季・冬季休暇期間中に利用可能。上記の長期休暇期間にあわせ期間を区切って発売され、全国のJR在来線全線および宮島航路で使用可能。
乗車できる列車には制限があり、「青春18きっぷ」だけで乗車できる列車や「青春18きっぷ」に別途料金券を追加することで乗車できる列車、別途料金を払っても全く乗車できない列車がある。詳しくは後述。
発行額は単一発行額で11500円(税込・1997年夏季?)。主として時間のある学生向けの商品として企画された「青春18きっぷ」という名称から、「18歳以下しか使えない」などと思われる向きもあるが、利用に際しての年齢制限はない(このため、おとな・こどもの区別もない)。近年は余暇を楽しむ中高年の利用も増加しており、マスコミなどでも取り上げられ一般にも広く浸透してきた。
スタンプ方式を採用しているのは日付や人数の管理など、乗車券の効力のシステムが複雑であるなどの理由により、自動改札機を利用して日付を刻印することが困難であることに起因する。このため自動改札機設置駅であっても、必ず有人改札を通るか管理駅と連絡をとって確認してもらう必要がある。
なお、JRホテルグループの予約センターに宿泊を申し込み、当日現地で「青春18きっぷ」を提示すると宿泊料金の割引等が受けられる[1]。
18きっぷの乗車できる列車
JRの普通列車・快速列車の普通車自由席、および宮島航路のみ利用可能。
普通列車扱いで運行される列車代行バスにも乗車することができる。
新幹線・特急・急行列車や、普通列車のグリーン車指定席、寝台車は別途料金券を購入しても乗車することができないため、これらの列車(車両)に乗車する場合は、乗車する全区間の運賃・料金が別途必要になる(一部例外あり。後述)。
「ムーンライト」各列車(一部例外あり)・「SLやまぐち号」などの普通・快速列車の普通車指定席については、指定券を別途購入することで乗車が可能。また「セントラルライナー」やその他の「ホームライナー」などの定員制の列車についても、乗車整理券・ライナー券を購入すれば乗車することができる。
2004年(平成16年)夏季まで、「青春18きっぷ」ではグリーン車に乗車できなかったが、同年10月のダイヤ改正に伴って実施されたJR東日本(東日本旅客鉄道)におけるグリーン車の制度変更により、普通・快速列車のグリーン車自由席に限り別途グリーン券を購入することで乗車できるようになった。グリーン車自由席を連結した普通(快速)列車は、多くがJR東日本の特定区間で設定されている。ただし前述のとおり、グリーン車指定席には乗車不可である。「中央ライナー・青梅ライナー」や瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」、快速「ムーンライトえちご」などのグリーン車は指定席のため利用できない。
なお、特急形車両を使用した普通列車・「ホームライナー」(総武快速線の「ホームライナー千葉」や高崎線の「ホームライナー鴻巣」など)で、車両の一部にグリーン車が連結されているものについては、当該グリーン車を普通車扱いとしている場合は追加料金は不要で、ホームライナーはライナー券の追加のみで乗車できる。
18きっぷの青春18きっぷが使用できない路線など
「青春18きっぷ」はJR線(在来線)にのみ有効な乗車券のため、JRではない私鉄・第三セクター等の鉄道事業者では一切使用することはできない。
博多南線や上越線の越後湯沢 - ガーラ湯沢間は在来線の扱いであるが、全列車が特急列車であるためこの区間は利用することができない。
また、東京モノレール(JR東日本の子会社)やJRバスなどのJR旅客鉄道会社の系列会社であっても利用することはできない。これと同じく、JR九州の子会社であるJR九州高速船が運行する「ビートル」はJRグループが運行する定期航路であるが、有効となっていない。
私鉄の一部には線路の所有がJRとなっているところもあるが、こういったケースでもJR線とされていない場合は利用できない。
逆に東京地下鉄千代田線の綾瀬駅?北千住駅間などのように、JR以外の会社が運行しているにもかかわらずJR線として運賃計算されるため青春18きっぷが利用できるところもある。
単純に、JRの運賃が適用される区間であれば利用できる。ただし鹿島臨海鉄道(大洗鹿島線)のように、JR線となる区間(この場合鹿島神宮駅?鹿島サッカースタジアム駅間)についての詳細を運賃表などに記載していない場合もあるので、注意が必要である。
ちなみに三陸鉄道や肥薩おれんじ鉄道、北近畿タンゴ鉄道では、有効な「青春18きっぷ」を提示した場合のみに発売される企画乗車券がある(後述)。
18きっぷの特急列車に乗車できる特例
以下の区間においては当該区間内相互発着の場合に限り、普通乗車券のみで特急列車の普通車自由席に乗車することが認められているため、「青春18きっぷ」のみで特急列車の普通車自由席に乗車することができる。ただし特例区間外にまたがって乗車し続けた場合は、乗車した全区間の乗車券および特急券が必要となる。
例えば、「特例区間の境界駅で特急列車からホームに降り、再度同じ特急列車に乗車」した場合(一旦改札を出て入り直した場合も含む)、また「この列車が特例区間の境界駅を通過するため、下車することができない」場合でも、特例は認められず全区間の運賃・料金が必要となる。例外規定については「特急料金不要の特例区間」も参照。
石勝線 新夕張駅?新得駅間の各駅
津軽線・海峡線(津軽海峡線) 蟹田駅?木古内駅間の各駅
一部では特急形車両が間合いで普通列車で運転される場合や特急列車の末端区間の一部が普通列車に変更されて運行される場合があるが、この場合は「特急車両を使用した普通列車」の扱いのため、「青春18きっぷ」で特急形車両に乗ることができる。
18きっぷの特例が適用される例
青森?蟹田間を普通列車、蟹田?木古内間を特急「スーパー白鳥」、「白鳥」の普通車自由席に乗車。
「蟹田?木古内間相互発着」の条件を満たすため、本きっぷのみで乗車できる。占冠?トマム間を特急「とかち」、「スーパーとかち」、「スーパーおおぞら」の普通車自由席に乗車。
新夕張?新得間の内側のため「新夕張?新得間相互発着」の条件を満たし、本きっぷのみで乗車できる。18きっぷの特例が適用されない例
青森?蟹田間を普通列車、蟹田?函館間を特急「スーパー白鳥」、「白鳥」の普通車自由席に乗車。
後者が「蟹田?木古内間相互発着」の条件を満たさないため、本きっぷで「蟹田?函館間」の乗車はできない。乗車するには「蟹田?函館間の自由席特急券と乗車券」が必要となる。新夕張?新得間を特急「とかち」、「スーパーとかち」、「スーパーおおぞら」の普通車指定席またはグリーン車指定席に乗車。
特例は普通車自由席のみ適用され、普通車指定席・グリーン車指定席には適用されない。 普通車指定席の場合は「新夕張?新得間の指定席特急券と乗車券」 グリーン車指定席の場合は「新夕張?新得間のグリーン車指定席特急券と乗車券」が必要となる。18きっぷの発売期間・利用期間
利用期間は学生が概ね長期休暇(春休み・夏休み・冬休み)に入る期間で、その約1か月前から発売される。「青春18きっぷ」はその期間のみ有効で、使い残した分を次の期間に繰り越し使用することはできない。なお、これら以外で旅行者の多い(とされる)時期であるゴールデンウィークには例年発売されていないので注意されたい。もっとも初期には、春用がゴールデンウィークまで使えた時代もあった。
払い戻しは、使用期間内に未使用の場合に限り発売箇所で行える。 基本的な発売期間・利用期間は以下の通り。※確定しているわけではなく、あくまで目安である点に注意(ただ、現状では毎回以下の日程通りとなっている)。
春休み
発売期間:2月20日?3月31日
利用期間:3月1日?4月10日
夏休み
発売期間:7月1日?8月31日
利用期間:7月20日?9月10日
冬休み
発売期間:12月1日?1月10日
利用期間:12月10日?1月20日
18きっぷの青春18きっぷの効力
1枚の乗車券で利用可能期間中5回(人)乗車できる。1回分は乗車(船)当日のみ有効。利用当日に有人改札の係員または車掌から利用日の記入を受けることで有効となる。現在では、日付の入るスタンプ(改札印)を押印し、入鋏と利用日記入を兼ねることがほとんどである。利用当日内であれば、何度でも乗り降り自由。なお、日付をまたいで運転する列車については、0時を過ぎて最初に停車する駅まで有効(ただし、0時を跨いで停車している列車はその停車駅まで有効)となるが、東京・大阪地区の電車特定区間(大都市近郊区間ではないので注意)の範囲においては、24時を過ぎても終電まで有効である。
なお、通用日の24時(翌日0時)以降終電までに、電車特定区間の駅と区間外の駅との間を乗車する場合は、特定区間の境界の駅と、区間外の乗降駅との間の乗車券(または、本きっぷのもう1回分の押印)が別に必要となる 例:常磐線下りの土浦行きの場合、0時を跨いで最初に停車する松戸駅ではなく、電車特定区間終端の取手駅まで有効となる。
災害や車両故障で列車運休や運転打ち切りになり、当日中に運転再開の見込みがない場合でも、使用開始後の有効期間延長や払い戻しは基本的に出来ない。払い戻しは前述したように5回分が未使用の場合に限られる。
18きっぷの歴史
5券片時代の券面(1987年夏季JR東日本発行) 5券片時代の表紙 国鉄時代の券面前述の通り、「青春18きっぷ」は旧国鉄の増収策の一環として企画された。当時、国鉄内部では利用者層を青少年(学生)・中年(社会人・主婦)・老年と分けた場合、中年男性は出張などで長距離の利用が多いものの、それ以外の年齢層では比較的短距離の利用が多いと分析していた。そこで、それらの層にも長距離の利用を勧めるための「トクトクきっぷ」を発売することとなった。当時国鉄には、長距離区間を運転する普通列車が数多く存在していたほか、老年向けには「フルムーン夫婦グリーンパス」、中年女性向けには「ナイスミディパス」を発売し、それぞれ好評を得ていた。
これらの成功を受けて、1982年(昭和57年)から「青春18きっぷ」の前身にあたる「青春18のびのびきっぷ」の発売が開始された。「青春18」とある通り、青少年(学生)を主な発売対象としたきっぷであったが、当時から年齢制限などはなかった。発売当初は1日券3枚と2日券1枚のセットで、価格は8,000円であった。また青少年の利用を意識して、バックなどに貼付できる「青春18きっぷ」シールが附属していた。
なお「青春18きっぷ」の語源であるが、前述の通り青少年・学生を主対象としたことによる「青春」に、その青春真っ只中の年齢として連想しやすい「18歳」ということや「末広がりの8」を加えたということ(JR東海相談役・須田寛の発言)や、国鉄職員で北陸本線車掌だった伊藤敏博のヒット曲に 青春18 という曲があることなどから、様々なファクターが合わさって命名されたという説がある。
翌1983年、「青春18のびのびきっぷ」は「青春18きっぷ」に改称され、1日券4枚と2日券1枚のセットで10,000円となった。1984年夏期用から1日券5枚となった。使用できる期間が1日短くなったが、価格は10,000円のままであった。1986年冬期に価格が11,000円に改定され、1989年夏期より消費税が導入されたことを受けて11,300円に改定された。
1996年春期より、現行のように、5日(回)分を1枚の券片にまとめた様式となった。これは、金券ショップなどで1枚ずつバラ売りされるのを防ぐためとも言われているが、特に複数人数で同時に使用する場合の使い勝手が悪くなった。またこの形式に改められた最初のシーズンは入場時に改札印を押印した際、印が回数欄にかかり、残余回数が判別できなくなるトラブルが多発した。また現在も残り4回?1回の青春18きっぷが金券ショップで時々売られていたり、ネットオークションでも取引されている。
1997年夏期から消費税の税率変更に伴い、価格が11,500円に改定され、現在に至る。
2007年にはJR各社が発足20周年を迎えたのを記念し、春季のみ「JR発足20周年・青春18きっぷ」が発売開始時の価格と同じ8,000円(乗車できる列車・回数などは通常のものと同じ)で発売された。
18きっぷの発売箇所
現行の「常備券」「青春18きっぷ」は基本的にみどりの窓口や旅行会社のマルス端末で発行されている。
なおJR東日本の指定席券売機、Kaeruくん、JR西日本のみどりの券売機(一部の設置駅を除く)でも発券可能である。
18きっぷの赤い地紋の青春18きっぷ
JR北海道(北海道旅客鉄道)・JR西日本(西日本旅客鉄道)・JR四国(四国旅客鉄道)・JR九州(九州旅客鉄道)の一部駅窓口では赤い地紋の用紙に印刷された「常備券」で販売され、「ナマ券」・「赤券」とも呼ばれる。常備券とマルス端末発行の券とで効力などの違いはないが、貴重あるいは風情があるとして、遠方から常備券を扱う駅まで購入しに行ったり、一部の駅では現金書留や郵便為替と返信用封筒を送付した上での販売を受け付けていることから、郵送での販売を利用したりするファンもいる。
主にマルス端末が設置されていない駅での発売だが、JR北海道・JR四国では利用者が多い一部のマルス端末設置駅でも発売している。JR西日本では大阪環状線内の一部駅で発売していたが、2008年春の取扱を以って終了した。また、筒石駅や奈良線の約半数の駅、JR北海道宗谷北線運輸営業所管内各駅など、一部駅では貴重な収入源となっており固定客も多い。



















