AIG

American International Group, Inc. (アメリカンインターナショナルグループ;AIG) はアメリカ合衆国ニューヨークに本拠を置く保険会社。2006年末において、130以上の国・地域で事業を展開し、約106,000人の従業員を有している。

AIGの概要

欧州においてはロンドンクロイドンに、アジアにおいては中華人民共和国の香港に本拠を置いている。2004年4月8日より2008年9月21日までダウ平均株価の構成銘柄の1つであった。株式はNYSE東証・アイルランド証券取引所に上場している。

米経済誌フォーブスが2007年3月29日に発表したForbes Global 2000(世界優良企業2000社番付)2007年版では全業種通算で世界第6位に、保険セクターでは第1位にランキングされている。

グループの主な事業としては、以下のものがあるが、後述の経営危機により事業の大幅な売却を余儀なくされている。

生命保険事業

AIGアメリカン・ジェネラル - アメリカでの展開

アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニーアリコ) - 欧州・日本・中東・中南米での展開

アメリカン・インターナショナル・アシュランス・カンパニーAIA) - 東南アジア、中国、オーストラリアでの展開

損害保険事業

AIGエージェンシー・オート - 個人向け自動車保険

DBG - 企業向賠償責任保険

AIU保険会社 - 欧州、日本、中南米で展開

アメリカンホーム保険会社 - アメリカ、日本、韓国などで展開

21st Century Insurance Group

再保険事業

トランスアトランティック再保険

航空機リース事業

インターナショナル・リース・ファイナンシャル・コーポレーションILFC) - 世界最大の航空機リース会社

金融事業

AIGファイナンシャル・プロダクツ・コープ

AIGインベストメンツ

その他

AIGシステムズ

AIGコーポレート・ソリューションズ

AIGの歴史

1919年、カリフォルニア州出身の起業家コーネリアス・バンダー・スター中華民国の上海で創業した損害保険代理店American Asiatic Underwriters (AAU) が始まりである。スターは上海で中国人に保険を売った最初の西洋人だった。スターは、中国大陸での事業に成功後アジア・ラテンアメリカ・ヨーロッパ・中東へと事業を拡大していった。1967年、持株会社としてAmerican International Group, Incが設立され、1969年に株式を公開する。

2005年、5億ドルの架空の損失引当金計上による粉飾、保険および証券法違反などの容疑でモーリス・グリーンバーグ(当時の会長)、AIG、元CFOハワード・スミスが起訴される。AIGの格付けはAAAからAA+に格下げされた。モーリス・グリーンバーグは会長を辞任し、後任にはマーチン・サリバンが就任した。2006年、16億4000万ドルを支払うことでニューヨーク州司法当局等との和解に合意した。

2008年6月15日、マーチン・サリバン最高経営責任者(CEO)が、サブプライム関連で過去最大の損失を出したことから、CEO職と取締役を辞任し、後任CEOにはロバート・ウィルムスタッド会長が就任した(会長兼任)。しかし、後述の経営危機より巨額の公的支援が決定したことから、2008年9月18日に、ロバート・ウィルムスタッドCEO兼会長引責辞任し、後任にはエドワード・リディ(元オールステートCEO)が就任した。

AIGのサブプライムローン問題による経営危機

2007年にアメリカサブプライムローン問題による金融危機が起こった。AIGサブプライム関連金融商品を抱えていたため例外ではなく、住宅価格の低下や金融商品の格下げの影響を受け多額の損失を抱えた。損失額は2008年通期で992億9000万ドルとなり、アメリカ企業史上最大の赤字額となった。

リーマン・ブラザーズ経営破綻を起こした2008年9月15日、ニューヨーク・タイムズ紙は信用格下げに直面しているAIGが連邦準備制度理事会(FRB)に対し400億ドルのつなぎ融資の打診をしている(FRBはこの融資を断っていた)と報じるなど、AIG経営危機説急浮上した。市場では次はAIGが破綻するとの懸念が広がり、株価は60%以上も下落、翌16日には一時株価が1.25ドルにまで下落した。AIG経営危機を回避するために最大で750億ドルの調達を急いでおり、17日までに資金調達の目処がたたなければ、連邦倒産法第11章を申請する以外に手段はなくなるとの報道があった。

FRBは当初、リーマン破綻時と同様に民間金融機関同士で資金の調達するよう促し、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどに融資を持ちかけていた。しかし、民間金融機関AIGを支援するだけの資金の余力はなく融資を拒否した。AIGが破綻することにより4000億ドルのCDSなどが顧客や市場に多大な影響を及ぼすことを危惧したFRBは方針を転換し、AIGの資産を担保とし、最大で850億ドルを融資することを決定した。また、これと引き換えに、アメリカ政府AIGの株式の79.9%を取得する権利を確保し、政府の管理下経営再建が行われることとなった。なお、AIGには当初、融資枠の850億ドルのうち借りなかった分については8.5%、実際に借りた分にはロンドン銀行間取引金利LIBOR)に8.5%を加えた金利が課されることになったが、11月10日に発表された追加救済策ではLIBOR+3%に引き下げられた。なお、この金利はその後の追加支援策により、LIBORの水準にまで引き下げられた。

2008年10月3日には新しい経営方針として、生命保険事業を売却し中核事業の損害保険事業に資源を集中させる方針を発表した。売却して得られた資金はFRBからの借入金の返済に充てられる。

2009年2月5日にニューヨーク証券取引所NYSE)の株価が上場廃止の1つの基準となっている1ドルを一時的に割り込んだ。回復しなければ、上場廃止の可能性もあったが、NYSEは時限的に上場維持基準を緩和したため6月30日までは上場の維持が見込まれることとなった。

2009年3月11日にロンドン金融商品部門で5000億ドルに及ぶ損失を出していた可能性を報道された。

AIGの批判

2008年10月7日、米下院で開かれた公聴会の席上で、AIGグループ保険子会社であるAIGアメリカン・ゼネラル社の幹部が、公的資金の投入による救済が決定した一週間後の9月22日から30日にかけてカリフォルニア州南部オレンジ郡の高級リゾート地に関係者を集め、総額44万ドル(約4500万円)の「会合」を繰り広げていたことが判明し、米下院イライジャ・カニングス議員は「米国民救済資金を出すのを横目に、マッサージを受け、マニキュアを塗っていたのか」と批判した。この件に関してはホワイトハウス広報官も「卑しむべき行為」と異例のコメントを行う事態となり、当初AIG側は「保険業界では常識的なことである」と正当性を主張していたものの、最終的には「もし開催を知っていれば中止させた」と弁明に追い込まれた。

2009年3月、AIGが幹部社員に対して総計1億6500万ドル(約162億円)にもわたるボーナスを支給すると報じられた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ボーナスを支給される幹部は400人。3月13日に支払われたボーナスは、400人に対し1億6500万ドル(約160億円)。ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ司法長官が17日に公表した結果によると、計73人が各100万ドル(約9800万円)超を支給され、そのうち11人はすでに退社しているという。支給額200万ドル超が22人おり、最高額は640万ドルである。これに対してバラク・オバマアメリカ大統領は「あらゆる手段を駆使してこれを阻止する」と宣言しており、アメリカ議会にて、国税である所得税においてボーナスの90%(地方税は10%相当であるから事実上は100%)を課税する法案が下院で可決され、上院で審議されている。また上院のグラスリー議員は「日本の経営者にならって、頭を下げ謝罪して辞任するか、もしくは自殺するかを選んで欲しい。そうすれば私の気持ちは少しは晴れる」という発言を行い物議をかもした。

AIGのスポンサー

マンチェスター・ユナイテッド 2006年?2007年シーズンよりユニフォームスポンサー契約金は4年で8060万ユーロ(約113億円)でイングランドで当時の最高契約額であった。 ジャパン・オープン・テニス選手権 2001年よりAIGスポンサーとなり、AIGオープンとして行われている。

AIGの日本での営業

大手町にあるAIGビル。アリコジャパンAIU保険会社が日本支社として使用している

2006年10月現在、日本国内では生命保険会社3社と損害保険会社3社(1社はJTBとの合弁会社)などが傘下で営業しており、日本国内の従業員数は2万5000人を超え、日本に進出している外資系企業としては最大級である。しばしば、アメリカンファミリー生命アフラック)がAIGグループだと間違えられるが、アフラックは系列ではない。

2008年10月、AIGの新しい経営方針に伴い、日本国内の生命保険会社3社は全て他社に売却される予定である。この件により、2009年1月に予定されていた傘下のAIGエジソン生命AIGスター生命との合併計画については延期された。

AIGの日本国内傘下会社

アリコジャパンアメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー日本支社) - 生命保険

AIGスター生命保険 - 生命保険千代田生命の営業を承継。

AIGエジソン生命保険 - 生命保険東邦生命の営業を承継。旧GEエジソン生命

AIU保険会社 - 旅行傷害保険などを展開。

アメリカンホーム保険会社アメリカンホームダイレクト) - 自動車保険の通信販売

ジェイアイ傷害火災保険 - 50%出資。JTBグループとの合弁会社旅行傷害保険などを展開。

AIGの歴史

AIGの日本進出は1946年に傘下の保険会社American International Underwriters Corporation (AIUC) が、当時日本を占領していたGHQの要請で、駐留アメリカ軍の資産の保険を始めたことによってなされた。1950年には日本人向けの営業も行なうようになった。傘下のアリコジャパンは日本で最初の外資系生命保険会社として1973年より営業を開始した。

AIGの事業規模

生保の保険料収入(2008年10月時点)では、アリコ単体で業界5位、グループ全体でも5位である。損保の保険料収入では、AIUが第8位、アメリカンホームが第11位で外資系としてはトップである。なお、通販専業損保ではアメリカンホームが業界最大規模となっている。

AIGの顧客・営業規模

生保の保有契約総件数は944万件(2005年3月末個人保険)

生損保合計総資産は8兆6千億円(2005年3月末)

生損保保険料収入総額は2兆6千億円(2004年度)

生損保保険金支払総額は4,700億円(2004年度)

生保3社:3,461億円(保険金給付金、年金は除く)

損保2社:1,257億円(元受正味保険料

AIGの第三分野保険

がん保険、医療保険傷害保険といった生保と損保の中間部分の保険を第三分野保険という。これは歴史的に外資系保険会社が強く、アリコもその分野でのシェアは高い。

◇出典: フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)『AIG』より
取得日:2009-03-23

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