はやぶさ2

はやぶさ2は、小惑星探査機「はやぶさ」(第20号科学衛星MUSES-C)の後継機として宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 内部で計画が進められている、小惑星探査プロジェクト地球近傍小惑星 (162173) 1999 JU3への着陸およびサンプルリターンが計画されている。

予算上の制約から実現が危ぶまれ、打ち上げ用のロケットを他国に提供してもらうことなども検討されたが、2010年1月に概要が公表された計画案では、2014年以降にH-IIAロケットで打ち上げることを目指すとしている。

特徴

基本設計は初代「はやぶさ」と同一だが、初号機の運用を通じて明らかになった問題点を改良した準同型機となる予定である。サンプル採取方式は「はやぶさ」と同じく「タッチ・アンド・ゴー」方式であり、事前に衝突体を突入させて直径数メートルクレーターを作ることによって深部の試料を採取できるようにする。採取した物質は耐熱カプセルに収納されて地球に回収される。着陸機の「ミネルヴァ2」も搭載される。

はやぶさからの変更点

2010年1月現在の探査機変更点を以下に示す。

アンテナ 「はやぶさ」のようなパラボラアンテナに代わり「あかつき」で使用されるフェイズドアレイアンテナを使用する。

姿勢制御機器 破損があった化学スラスタ配管再検討リアクションホイールの信頼性向上などの改良が行われる。

イオンエンジン μ10の推力を10mNへと向上した改良型を使用する。

サンプリング サンプリングシーケンスが改善される。魚眼レンズを装備したカメラが搭載され、サンプリングの様子を撮影する他、巻き上げられた粒子の光学観測が行われる。

プロジェクタイル プロジェクタイルの形状が「はやぶさ」の弾丸型から円錐型へと変更される。頂点の角度は90度に設定されており、プロジェクタイルが3g以上の質量をもつ場合には弾丸型よりも効率的な試料採取が可能となる。

衝突体 直径約20cm、重さ約10kgの円筒形。爆薬を内蔵しており、探査機本体から切り離された後に起爆、爆圧によって変形した金属塊目標天体に突入させる。

探査計画

「はやぶさ」がS型小惑星である (25143) イトカワを探査したのに続いて「はやぶさ2」ではC型小惑星探査対象とする構想であり、現時点ではアポロ群の (162173) 1999 JU3が想定されている。

2014年に打ち上げられた場合、2018年に 1999 JU3に到着、2020年に地球へ帰還する予定。

経緯

MUSES-C(初代「はやぶさ」)の打ち上げ以前から小天体探査フォーラムなどで後継ミッションについて非公式に検討が続けられており、「はやぶさ」打ち上げ翌年の2004年には小天体探査ワーキンググループが発足して、より詳細な検討が行われた。この当時は1機または2機の探査機スペクトル既知の複数の小惑星に送り込む「マルチランデブー&サンプルリターン」や「ファミリーミッション」と呼ばれる大掛かりな案もあった。そして、「はやぶさ」が地球近傍小惑星イトカワの精密な科学観測を行い目覚しい成果を上げたことを受けて、JAXA内部で本格的に次期小惑星探査計画が持ち上がった。

はやぶさは当時、様々な故障を抱えていて地球へ帰還できる可能性は決して高くない状態であり、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が検討を開始したOSIRISミッションなど他国の追い上げも厳しい中、小惑星探査の分野での世界トップを維持できなくなるという危機感から、はやぶさ関係者からは後継機の早期の打ち上げが切望されていた。

しかしJAXA全体プロジェクトを積極的に推進するとの意思統一はなされず、計画は遅々として進まなかった。2007年度の予算は5000万円で、これは要求額(5億円)のわずか10分の1だった。JAXAは2007年10月の理事長記者会見で、予算不足のため国産ロケットでの打ち上げは断念し、探査機のみを日本で製作し、打ち上げは他国の協力を仰いで海外で行うという考えを示した。しかし、無償でロケットを提供してくれる協力相手を見つけるのは簡単なことではなく、プロジェクトの存続は困難であると見られていた。

この頃から、一般のファンから関連機関に対してはやぶさ後継機の実現を希望する投書が多数寄せられるようになった。JAXAには約80通、文部科学省宇宙開発委員会には約30通のメールが届いた。この数は、宇宙開発関連の投書としては異例の多さだったという。

2008年1月、イタリア宇宙機関 (ASI) 長官からJAXA理事長宛に共同で計画を進めたいという旨の書簡が届いたことが明らかになった。探査機を日本が、打ち上げ用のロケットイタリアが提供する形での協議を考えていたという。 イタリアとの共同計画では、イタリア側がロケットを無償で提供する代わりに、イタリア側の計測機器が日本の用意する探査機に搭載される。打ち上げ用のロケットは、イタリアが中心となって開発中のヴェガロケットが使用される予定だった。

これとは別に、アメリカNASAとの協力も検討されていた。なお、OSIRISは2007年末に決定されたディスカバリー計画次期ミッションからは外された(採用されていれば、2011年の打ち上げが予定されていた)が、2010年現在、ニュー・フロンティア計画次期ミッション最終候補に含まれており、採用されれば2015年から2018年の間に打ち上げられる。

その後ヴェガロケットの調達が困難となり、打ち上げ時期も2014年以降にずれ込む見通しとなった。そのため予算を次の5か年計画から捻出せねばならなくなり、ロケットの予算を他国に頼るという方向性も再検討されることになった。ただし惑星探査の予算が圧迫されている状況に変わりはなかった。2009年7月のJAXA相模原の一般公開においては、500kgクラスのはやぶさ2に加え、300kgクラス衝突機を同時に打ち上げる2機構成案が示された。この案ではPLANET-C (500kg) + IKAROS (300kg) と同様のH-IIAの打ち上げ能力が想定されている。その後、2010年になると上記のように衝突体小型化した新しい計画が示された。

はやぶさ2に関する開発費は、2007年度予算要求では5億円だったのに対して5000万円しか付かず、2010年度予算概算要求では17億円だったものが、歳出見直しで5,000万円へと削減、さらに事業仕分け第1弾で1割縮減とされ、3,000万円とされる等、非常に苦しいものとなっている。

しかし、2010年6月14日のはやぶさのカプセル回収成功に対し、菅内閣閣僚の多くは偉業として絶賛している。翌15日菅直人総理大臣らは、2011年度の予算では増額を検討する意向を示している。

「はやぶさ」が地球に帰還した翌日には、オンライン署名サイト 署名.TV にて、はやぶさ2の予算増額を求める嘆願署名が開始され、6月16日現在で1万通を超える署名がまっている[1]。

◇出典: フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)『はやぶさ2』より
取得日:2010-06-18

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