むずむず脚症候群

むずむず脚症候群は、身体末端の不快感や痛みによって特徴づけられた慢性的な病態。英語のRestless legs syndromeからRLSレストレス・レッグス症候群または下肢静止不能症候群とも呼ばれる。

むずむず脚症候群データ
ICD-10 G258

むずむず脚症候群の病名

「むずむず脚症候群」はヨーロッパでは17世紀からこれに相当する病気の報告があり、1960年になり米国のエクボン博士により、同博士の名前を取って、「エクボン症候群」(Ekbom Syndrome)と初めて名前が付けられた。日本では、1997年日本睡眠学会に米国より現状調査の依頼があり、日本国内で俄かに注目されるようになった。現在では、この「むずむず脚症候群」は広く見られる神経疾患で、患者が脚を動かさずにはいられない状況から、「レストレスレッグス症候群」(「下肢静止不能症候群」;Restless Legs Syndrome=略称「RLS」)とも 呼ばれる。この項では、以下RLSと記載する。

むずむず脚症候群の症状と特徴

自覚症状としては、じっとした姿勢や、横になったりしていると、主に下肢の部分に(患者によっては、脚のみならず腰から背中やまた腕や手など全身にまで現れる)「むずむずする」・「じっとしていられない」・「痒い」だけでなく、「ピンでなぞられているような」・「針で刺すような」・「火照るような」・「蟻やミミズなどの虫が這っているような」などの異様な感覚が現われ、時には「振動」のような感覚まで感じたりする場合もある。また「激しい痛み」を感じるなどさまざま。この苦しさは、「脚の中に手を突っ込んでかき回したいぐらい苦しい」と表現する患者もいて、この症状の辛さを表している。

このむずむずとした不快感や痛みなどの不快な異常感覚・身体症状が、下肢や腰・背中・腕などに出現するため、患者はこれを抑えるため、常に脚を動かしたり、身体をさすらなければならない状況に追い立てられる。

3分の1の患者では週に2回以上、中等症から重症の症状が起こる。特に夕方から夜間にかけて症状が増強するという特徴(勿論、日中でも症状が出現)があり、入眠障害熟睡障害中途覚醒のような睡眠障害の要因となり、また日常の座ったままや、じっとした姿勢の活動を阻害されるため、放置していると日常生活に大きな影響を及ぼす。この結果、副次的症状として昼間の疲労感を引き起こす。

実際、患者は昼夜にわたり、生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす様々な症状に苛まれている。回復が長引けば全身の「慢性疼痛」の症状がでてくる。

症状が悪化すると、睡眠障害と過度のストレスから「うつ病」を招き、最悪の場合、自殺する人もいる恐ろしい病気である。

むずむず脚症候群の原因

正確な原因は不明だが、これまでの研究は、

神経伝達物質であるドパミン機能低下

中枢神経における鉄分の不足による代謝の異常

脊髄(せきずい)や末梢神経の異常

遺伝的な要素

などが考えられている。脳内での鉄分の欠乏や、ドパミン合成異常がかかわっているという仮説が有力である。また鉄欠乏性貧血は女性に多いので、RLSが女性に多い事に関係しているともいわれる。

むずむず脚症候群の発症

どういう場合に発症するのかも未だ明確にはなっていない。しかし、こんな場合に出やすいというのは、以下に列挙する。なお、精神的ストレスは病状の強弱と関連あり。

鉄欠乏性貧血

腎不全で人工透析を受けている場合

パーキンソン

胃切除後下肢静脈血栓

妊娠

慢性呼吸不全

心不全

糖尿病

甲状腺機能低下症

尿毒症

痛風

結核、肝炎、肺炎などの感染症

関節リウマチ

線維筋痛症随伴症状

遺伝性

抗うつ薬や抗精神病薬を服用している場合

むずむず脚症候群の治療

むずむず脚症候群の日常のケア

日常のケア治療として、

カフェイン・アルコール・過度の喫煙など嗜好品を避ける

日常生活で誘発因子になるカフェインアルコール、過度の喫煙を避けることが第一。 睡眠を浅くする可能性があるカフェインを含む飲料を控える事、そして飲酒は入眠を誘導するが、アルコールが分解される と却って睡眠が浅くなるので、飲酒を控えることも効果があるとされている。

休薬

脚のマッサージ

就寝前に脚をストレッチマッサージを行い、筋肉のこわばりを取ると改善されることもある。 日常のケアで改善されない場合は、

基本的にドーパミン機能の促進剤、あるいは抗てんかん薬の一種のクロナゼパムをごく少量使用治療薬節参照)。

針灸・漢方薬による治療にて、新陳代謝を促し、ドーパミン等の脳内ホルモンの分泌を正常化し、RLSの症状が軽減され改善していくこともある。信頼のおける漢方医鍼灸師に相談してみること。

整体も鍼灸と同様、身体の歪みを取り、血流を改善し、ドーパミン等の脳内ホルモン正常分泌を促すことにより、改善することもある。

一部のサプリメントや一部のハーブも効果がある可能性があるが、まだ確証は得られていない。

問題点

この疾患の一番の問題点は、一般の医師の勉強不足により、RLSと診断できずに、無駄な投薬治療と時間を費やしていることである。発症の項目で記載したように、抗うつ薬や抗精神病薬を投与することにより、却って、RLSの症状が悪化することが多い。早くRLS専門医に相談することが望まれる。

また、鉄欠乏性貧血で、自己診断での鉄剤の服用は避けること。鉄欠乏状態でない場合は鉄剤の服用は副作用がある。

むずむず脚症候群の治療薬

RLSの異常感覚は、薬物治療で軽快する場合が多い。とりわけドーパミン神経の機能を高める薬である「L-DOPA製剤」や「ドーパミン受容体刺激薬」がRLSによい効果があることは、これまでの研究や臨床経験から知られている。また抗けいれん薬(クロナゼパム・バルプロ酸など)も効果が見られる。

この疾患に、睡眠導入剤サイレース)や抗うつ薬を処方されると、むずむず感が解消されないまま眠気だけがどんどん増し、却ってRLSの症状を悪化させる可能性がある。

欧米では中等度以上の症例には、パーキンソン病の治療にも使われるドーパミン受容体作動薬を第一に使う。現在「プラミペキソール」のRLSへの適用追加に向けた臨床試験が国内でも進められている。

むずむず脚症候群の推定患者数

欧米では、1200万人もの患者がいるといわれている。

日本では、ある医師がインターネットで調査した結果では、国内には推定で3?4%程度のRLS患者がいると推定されている。判明している患者で、およそ130万人。症状の軽い人も含めると、実に200万人近い。更にRLSという疾病に対する認知度の低さから、もっと多くの患者が潜在しているとも考えられ、この顕在・潜在患者を含めると約500万人近く存在するとも推測される。

年代別と性別では、40歳以上の中高年に多く、特に40?60歳の女性に多く見られる。 不眠症患者の10人に1人の割合で、RLSの人がいるといわれている。

要約すると、

欧米での患者数は、1200万人

日本国内の患者数は、推定で人口の3?4%

40歳以上の中高年に目立つ

40代で発症し、年を重ねていくほど悪くなることが多い

女性の患者が男性の患者に比べて、1.5倍

症状が進むと、不安や抑うつなどの精神障害を合併することが有る

むずむず脚症候群の社会的認知度

一般の人には、勿論、専門医以外の間ではRLSがあまり知られていないため、ひどい不眠に長年苦しんでいる患者が多い半面、適切な治療を受けていないケースが殆どであり、多くのひとが治療を受けていないといわれている。これは20年前睡眠時無呼吸症候群を知っている人は殆どいなかったが、現在では睡眠時無呼吸症候群は広く知られており、現在、RLSが置かれている状況は、まさに20年前の睡眠時無呼吸症候群と同じ状況である。

RLS入眠障害中途覚醒といった睡眠障害の要因となっており、これがきっかけで患者が受診し、診断と治療を受けるのが一般的である。但し、RLSが単に睡眠障害の要因とだけなっているというのも誤った認識である。実際、患者は昼夜にわたり、生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす様々な症状に苛まれている。ともかく、かかる症状をRLSと診断されることがいまだに少なく、見過ごされ易いのが問題である。

内科・精神内科心療内科の医師ですら、RLSを知らない医師が多く、単純に「身体表現性障害」や、そのことによる身体症状であると片付けるため、適切なる治療が遅れ症状が悪化する懼れがあり、RLS専門医の門を早急に叩く必要がある。

症状自体は名称から脚だけと思われがちだが、病気の本体は下肢ではなく、中枢神経系にあると考えられている。従って、人によっては下肢だけではなく、腰から背中や腕や手など全身にまでむずむずした不快な症状を感じる人も少なくないので、全身に症状がある患者の場合、脚だけはないのでRLSではないと判断するのは早計である。

この病気は、人工透析患者、妊婦、鉄欠乏性貧血の若い女性にも多く、「夜に眠れないので 交感神経が刺激され、血圧や血糖が上がり太りやすくなる。妊婦の場合、放置すると精神的にも不安定になり母体や胎児に悪影響を与える」と言われている。産婦人科医の間でも、まだまだRLS認知度は低いという。

◇出典: フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)『むずむず脚症候群』より
取得日:2008-07-13

むずむず脚症候群の関連サイト

むずむず脚症候群 関連サイトをもっと見る

↑ページの上にもどる