ユダヤ教(ゆだやきょう)は、古代の中近東で始まった唯一神ヤハウェ(????)を神とし、選民思想やメシア信仰などを特色とするユダヤ人の民族宗教である。ただしメシア思想は、今日ではハバド・ルバヴィッチ派などを除いて中心的なものとなっていない。唯一神教であり、キリスト教やイスラム教の起源にもなった。
ユダヤ教の概要
カールスルーエのシナゴーグユダヤ教はキリスト教、イスラム教よりも長い歴史を持ち、2つの宗教の源であり、同時に多大な影響を与えてきた。 タナハ (tanakh)、 ミクラー (miqra') とよぶ書を聖典とし、これはキリスト教において 新約聖書 と同じく重要な 旧約聖書 と同じ書物である。ただし、成立状況が異なるので、キリスト教とは書物の配列も異なる。イスラム教でも モーセ五書 は コーラン に次いで重要視される。ユダヤ教では、この他にタルムードをはじめとしたラビ文学も重要である。
しかし、ユダヤ教はキリスト教やイスラム教と違い、信仰、教義そのもの以上に、その前提としての行為・行動の実践と学究を重視する。「ユダヤ教をヘブライ聖書と結び付けようとする試みは、ハラハーとは無関係であり … ルター主義的であって、ユダヤ教的ではない。イスラエルは聖典によって生活したこともなければ、そうしようとしたこともなく、そのように考えられたこともなかった …」のである。例えば、ユダヤ教の観点からは、信仰を持っていたとしても、アミーダー・アーレーヌー・ムーサーフなどを含んだシャハリート・ミンハー・マアリーブを行わないこと、シェマア・イスラーエールを唱えないこと、ミクラーを読まないこと、食事とトイレの前の手洗いと祈りを行わないこと、戸口のメズーザーに手を当てて祈りを行わないこと、カシュルートを実行しないこと、タルムード・トーラー、ベート・ミドラーシュ、イェシーバー、コーレールなどミクラーとラビ文学の研究を行わないこと、シャッバートを行わないこと、パーラーシャーを読まないことなどは、ユダヤ教徒としてあるべき姿とは言えない。「信じるものは救われる」などという講義をするラビはとても考えられない。そのため改宗にも時間がかかり、単なる入信とは大きく異なる(例えばイスラエル国においてロシア系移民の改宗手続きをする場合、440時間を費やすので、一日2時間勉強しても最低7ヶ月かかる)。
ユダヤ教では、改宗前の宗教に関係なく、「地上の全ての民が」( 創世記 )聖なるものに近づくことができる、救いを得ることができる、と考える。「改宗者を愛せ」という考え方は、次のようなことばにもみることができる。
| ????????????, ???-??????: ????-?????? ????????, ???????? ????????? 寄留者(ゲール)を愛しなさい:あなた達がエジプトにおいて寄留者であったからである (ミツワー、典拠は申命記10:19) |
すなわち、ユダヤ教徒であることとユダヤ人であることはほぼ同義に近く、血縁よりも教徒としての行動が重要視されることも多い。しかし、 イザヤ書 56章の記述にあるように、神の下僕となり、神との契約を守る非ユダヤ人がユダヤ教徒になることには条件がなる。その場合、61章にあるように、ユダヤ人が神の祭司であるのに対し、非ユダヤ人は労役に服するという差別性があり、キリスト教のように「イエスを信じる者が平等に救いを得ることができる」とはしない。ここにもユダヤ教の普遍宗教的でなく民族宗教的な側面がある。
一方、形式的に考えれば初期のキリスト教徒はすべてユダヤ人だったのであり、「ユダヤ人キリスト教徒」という矛盾を含んだ呼称も成立する。世界中の全ての民族は「ユダヤ教」に改宗することによってユダヤ人となりうるのであり、ユダヤ人は他宗教に改宗することによってもはや狭い意味での「ユダヤ人」ではなくなってしまう。また、「民族宗教」といっても、例えば神道のように、特定の地域・場面においての繋がりしかなく、改宗手続き・運動もなく、日本人になる絶対的要素でもないような「宗教」とは全く性質・意味の異なる部分がある。民族の定義を血縁によるのか、宗教によるのか、「ユダヤ教」が「民族宗教」なのか、あるいは「宗教民族」ともいえるのか、といった問題につながる。
このように、内面的な信仰に頼らず行動・生活や民族を重視し、また唯一の神は遍在(maqom)すると考える傾向(特にハシディズムに良く現れる概念)があるため、ユダヤ教の内部にはキリスト教的、またイスラム教的な意味での排他性は存在しない。
ユダヤ教の思想
ユダヤ教徒はタルムードと呼ばれる教典に従って行動する。タルムードは2世紀頃からユダヤ人の間で幾たびも議論の末に改良を重ねられてきたユダヤ人にとっての生活の基礎であり、家族やユダヤ人同士でタルムードの内容について討議する事もある。
ユダヤ教の死生観
ユダヤ教は死を現実的なものと捉えており、一般的な宗教に見られる「死後の世界」というものは存在しない。最後の審判の時にすべての魂が復活し、現世で善行(貧者の救済など)を成し遂げた者は永遠の魂を手に入れ、悪行を重ねた者は地獄に落ちると考えられている。
ユダヤ教の労働
労働は神の行った行為の1つであるため、神聖な行為と考えられている。そして、安息日と呼ばれる休日を週1回は必ず行うべきであり、安息日の間は労働はしてはならず、機械に触れてもいけない。自分自身を見つめ、自分と対話したり、家族と対話したりする。
ユダヤ教の性
ユダヤ教では性衝動や性行為は自然なもので、必要悪とはみなさない。姦淫は罪であるが、夫婦の性行為はそれを捻じ曲げることがむしろ罪であるとされる。
ユダヤ教の教派
改革派の礼拝 タルムードの文章 バビロニア・タルムードの一部 ハッガーダー・シェル・ペサハ ハラーハー文学正統派
超正統派
ハシディズム
現代正統派ユダヤ教
新正統派「トーラー・イム・デレフ・エレツ Torah 'im Derekh Eretz:聖地の道と共にあるトーラー」(新正統派神学 Neo-orthodoxyではない)
保守派
伝統派(マーソルティー)
改革派
再建派
カライ派
他にヒューマニズム・ユダヤ教 Humanistic Judaism、自由主義ユダヤ教 Liberal Judaism、進歩主義ユダヤ教といった教派がある。
ユダヤ教の歴史
ユダヤ教のユダヤ教の成立
紀元前1280年頃、モーセがヘブル人(これは、民族・人種ではなく、社会的下層の人々を示す)を中心とした集団をエジプトから脱出させ(出エジプト)、シナイ山で神ヤハウェと契約を結ぶ(十戒、律法)。
カナンに定着後の約200年間は、12部族からなるイスラエル民族が繁栄し、王は神ヤハウェとして人間の王を立てずに、平等な社会を形成する。
紀元前1020年頃イスラエル王国が成立し、約400年間は外部からの防衛上必要悪として王を立てるが、平等な関係が崩壊し、支配・被支配の構造が作られ、預言者による王への批判が起こる。ダビデと子のソロモンの時代にあたる。その後ユダ王国が成立し、南北に分立する。
紀元前587年、ユダ王国が新バビロニアに滅ぼされ、バビロンに捕囚される。バビロン捕囚中の約50年間は、政治・宗教のエリート層の全員が捕囚され異郷の地バビロニアで生活を強いられ、王国もなく、神殿もない状況に置かれた。この中で今までのイスラエル民族の歩みを根本的から捉え直され、民族神・神ヤハウェに対する深刻な葛藤・省察の後に、国はなくてもユダヤ教団として生きる道を選び、大胆な宗教変更・改革が行われた。「圧倒的な政治・経済を誇る異教の地」の下にも拘わらずそれに飲み込まれずに、神ヤハウェの再理解、神との再度の関係修復を実現し、イスラエル民族のアイデンティティを確立したのである。旧約聖書の天地創造物語はこの時代に著述された。これが「神ヤハウェが、この世界を創造した神であり、唯一神である」と理解し直されたユダヤ教である。この時期の代表的な宗教家は無名であり、旧約聖書学では第2イザヤと呼ばれている預言者である。また、創世記の天地創造の物語も、この時代に、祭司記者といわれるグループによって著述された。
その後(紀元前539年)、この捕囚されていたユダ王国の人々がユダヤに帰還した。ここで「ユダヤ」とは、イスラエル十二部族の一つユダ族の居住していた地方の名である。しかし、政治運動であるユダヤ王朝の復興は禁止されたままであったため断念し、捕囚期の宗教改革を受けたヤハウェ宗教の下で「エルサレム神殿の儀礼」と「神ヤハウェの教えであるトーラー・律法の遵守」を2本の柱とするユダヤ教団を発展させた。
ユダヤ教のユダヤ教の組織の概略
アブラハムの宗教を参照
ユダヤ教のタナハ(モーセ五書、預言書、諸書)時代
ヤハウェ信仰に改宗した、もと「異邦人」をゲール・ツェデク (g?r tzedeq、正しい改宗、改宗者)、イスラエル人、あるいはヤハウェ信徒以外でイスラエルの地に住んだ人々をゲール・トーシャーブ (g?r t???bh) Ger Toshav(正しい異邦人、寄留者)と呼んだ。
祭壇(ミズベーアハ)での信仰
幕屋(移動式テント神殿、タバナクル)での信仰
エルサレム神殿での信仰(ソロモンの神殿 Solomon's Temple)
預言者によるユダヤ教
ユダヤ教の第二神殿 Second Temple 時代
ハスモン家
エッセネ派(イースィーイーム)
ファリサイ派
ミシュナー
シナゴーグでの信仰
サドカイ派
熱心党(ゼローテース)(政治的な団体)
シカリー Sicarii(政治的な団体)
ユダヤ教グノーシス
ユダヤ教の中世初期
カライ派
タルムーディズム
カバリズム
ガオンのユダヤ教、ラビ・ユダヤ教、ラバナイト
ユダヤ哲学(ユダヤ思想) Jewish Rationalism
ユダヤ教の中世後期
ルリア神秘主義(イツハク・ルリア) Lurianic mysticism
ハラハーのユダヤ教
アシュケナジムのユダヤ教
初期のミスナグディーム(エリヤ・ベン・ソロモン<ヴィルナのガオンen:Vilna Gaon>など)
初期のハシディズム(イスラエル・ベン・エリエゼルなど) Early Hasidic Judaism
セファルディムのユダヤ教 Sephardic Judaism(スペイン、北アフリカ、トルコなど)
ミズラヒムのユダヤ教 Mizrahi Judaism(イエメン・ユダヤ人<テーマーニー>、イラク、ペルシア系、その他全て)
ユダヤ教の現代
正統派
ハレディーム
ハシディズム
ハバド・ルバヴィッチ派 Chabad Lubavitch
サトマール派 Satmar
ゲル Ger
ボボフ派 Bobov
ブレスロフ派(ブラツラフ派) Breslov(ナフマン・ブラツラフなど)
プッパ Puppa
ヴィジュニッツ派 Vizhnitz(その他星の数ほど。ハシディズムの宮廷(王朝、ホイフン hoyfn, コート court)に関しては、ハシディズムの宮廷の一覧を参照)
近代ミスナグディーム
ムーサール運動
トーラー・イム・デレフ=エレツ Torah im Derech Eretz (デレフ=エレツと共にあるトーラー)デレフ=エレツ(聖地の道)とは、トーラーの実践のこと。新正統派創設者ザームゾン・ラーファエル・ヒルシュによる哲学
リトアニアのイェシーバー世界(ハイム・ヴォロジンなど)。現在はイスラエル、アメリカ、イギリスに移動。リトアニア人の一覧、Lithuanian Jews (Litvak) もあわせて参照
コッレーリーム Kollelim
イェシーバーの世界
ナートーレー・カルター(ネトゥレイ・カルタ)
現代正統派ユダヤ教
イェシーバー大学の世界
アメリカ・ラビ評議会 Rabbinical Council of America
正統派ユダヤ教信徒協会連合 The Union of Orthodox Jewish Congregations of America
宗教シオニズム Religious Zionism(→シオニズム:ツィーヨーヌース、ツィヨヌート tziyy?n?th (tz?y?n?th) )
精神的シオニズム duchovnij cionizm (近代にはアハド・ハアムなど)
文化シオニズム cultural Zionism (近代はマルティン・ブーバーなど)
イフード ’ich?dh
ミズラヒ Mizrachi
国民宗教党(マフダル) Miphl?gh?h dh?th?th-l?’umm?th, MaPhDaL
バアル・テシューバー運動 Ba‘al T???bh?h
アイシュ・ハ=トーラー Aish HaTorah
ナショナル・ジューイッシュ・アウトリーチ・プログラム(教化プログラム) National Jewish Outreach Program
保守派ユダヤ教
保守派ユダヤ教シナゴーグ連合 United Synagogue of Conservative Judaism
マーソルティー(伝統派)
ヒューマニスティック・ジュダイズム Humanistic Judaism
改革派ユダヤ教
改革派ユダヤ教の連合 en:Union for Reform Judaism
再建派ユダヤ教
ユダヤ教復興(ジューイッシュ・リニューアル) Jewish Renewal
ネオ・ハシディズム Neo Hasidism
ファラシャのユダヤ教
ヘレニズム的ユダヤ教 Hellenistic Judaism
ネオ・ジュダイズム Neo Judaism
サンニカンドロ San Nicandro (ユダヤ教に改宗したイタリア人キリスト教徒の一派)[1] [2]
アバユダヤ Abayudaya(改宗ウガンダ人)、ミゾ Mizo(改宗者)、ブラック・ジュー参照
サマリア教 Samaritanism - 現在ユダヤ教の一派となっている。サマリア人参照。
ノアヒディズム Noahidism(ノアの法 Noahide Laws参照)
ユダヤ教の派生した思想・組織
ユダヤ教のユダヤ=キリスト教徒
ユダヤ教・キリスト教に共通の信条・教義を認める人々(Judeo-Christian, Judeochristianity)。ユダヤ教からの視点では、キリスト教は行動・行為の実践よりも信仰を重視するものが多く、イエスをメシアとする、原罪、贖罪、再臨信仰などの三要素ほか、さまざまな点において、ユダヤ教との違いが指摘される(教祖をメシアとするキリスト教的にも異端とされる物を含む)。
エビオン派 Ebionites
エルカス派 Elkasites
ナザレ派→イエスの死後キリスト教として分離
タルミダイズム Talmidaism-->
イエスのためのユダヤ人(イエスのためのユダヤ人運動)Jews for Jesus(原理主義的発想はユダヤ教にはなじまないとして、ユダヤ人の間から批判されている)
メシアニック・ジュダイズム(ユダヤ教の伝統を保ちながらイエスをメシヤと信じる信仰。正統派からは異端視されている)
メシアニック・リニュード・ジュダイズム
ユダヤ人キリスト教徒
キリスト再臨論 Adventism
セブンスデー・アドベンチスト教会
キリスト=イスラム伝統 Christo-Islamic
モリスコ Morisco
ユダヤ教のユダヤ=イスラム伝統
イスラムは、予定救済説など行動・行為よりも信仰を重視し、大量改宗運動などユダヤ教とは大きく異なるが、二つの伝統の間に位置する人々もいる(Judeo-Islamic)。
シャブタイ派 Sabbatianism(ユダヤ教の中のメシア運動)
デンメ派 D?nmeh(もとシャブタイ派の隠れユダヤ教徒)
ムスリム・ユダヤ人 Muslim Jew
ジューズ・フォー・アッラー Jews for Allah
ユダヤ教の隠れユダヤ教徒
弾圧などによってユダヤ教の信仰を密かに続けてきた人々(Crypto-Judaism)。
マラーノ
コンベルソ
フランク派(ヤコブ・フランク) Frankists -(ポーランドのヤコブ・フランクをメシアとする。1759年カトリックに改宗させられ、密かにユダヤ的習慣を保ち続けたが弾圧を受け、次第にキリスト教に同化していったと考られる)
マンダ教 (イラク南部に現存する、古代グノーシスの流れを組む一派)
ラスタファリズム
ユダヤ教の祭日
ユダヤ暦
ユダヤ教の祝祭日
ヨム・キプル
過ぎ越し
仮庵の祭り
◇出典: フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)『ユダヤ教』より取得日:2008-08-17
ユダヤ教の関連サイト
- ユダヤ教 - Wikipedia
ユダヤ教はキリスト教、イスラム教よりも長い歴史を持ち、2つの宗教の源であり、同時に多大な影響を与えてきた。 - ユダヤ教
現在のユダヤ教. 大きく超正統派、正統派、改革派の3つに分けられる。 - ユダヤ思想
古代ユダヤ人(=ヘブライ人)の民族宗教であるユダヤ教からキリスト教は生まれました。 - ユダヤ人とユダヤ教
誰でもユダヤ教に改宗することによって、ユダヤ人の一員になる道があるからです。 - Category:ユダヤ教 - Wikipedia
ウィキメディア・コモンズには、ユダヤ教 に関連するカテゴリがあります。 - ユダヤ教の食事規定「コーシェル」
どんな宗教も食べるときの礼儀作法の定めがありますが、ユダヤ教はこれに格別に重点をおいて複雑な一連の戒律を設けています。 - 新書マップ | 読書ガイド | ユダヤ教
これは世界的にみると珍しく、世界の約70%の国の人々は一神教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教のどれかを信じている。 - ユダヤ教‐古寺散策
ユダヤ教を要約すれば神との契約即ち旧約聖書、特にト-ラーに書かれた神による命令に尽きる、政治、経済、法律、戒律、 - ユダヤ教 - アンサイクロペディア
これを誤って「キリスト教」と呼ぶが、広義のユダヤ教である。 - ユダヤ教
ユダヤ教はキリスト教でいう、旧約聖書を聖書としています。





















