ラファエル・ナダル

ラファエル・ナダル(Rafael Nadal Parera, 1986年6月3日 - )は、スペイン・マヨルカ島出身の男子プロテニス選手。2005年から2008年の全仏オープン男子シングルスで大会4連覇を達成し、2008年北京五輪の男子シングルス金メダルも獲得した。左利き(本来は右利きであるが、幼少時に助言を受け左打ちに矯正した)。身長185cm、体重85kg。長髪に白いヘアバンドノースリーブシャツ膝下パンツトレードマーク。2008年8月18日、ロジャー・フェデラーを抜いて世界ランキング1位になった。

ラファエル・ナダルの選手経歴

彼のおじはサッカースペイン代表DF(ディフェンダー)のミゲル・アンヘル・ナダルであり、ラファエルも12歳まではサッカー有望選手だったという。その後テニスを職業に選び、2001年に15歳でプロ入りした。ジュニア時代のナダルリシャール・ガスケフランス)とライバル関係にあった。2004年の全米オープンで、同じスペイントミー・ロブレドと組んで男子ダブルス準決勝に進出したことがある。

ナダルは2005年のシーズン急成長を始めた。シーズン序盤中南米クレーコートの大会でいくつかの勝利を収め、全仏オープン前哨戦となるモンテカルロローマでも優勝。年頭には50位だったATPランキングも、全仏オープン開始前には5位まで上昇した。全仏オープンでは、準決勝で世界1位のロジャー・フェデラーを破り、決勝ではアルゼンチン伏兵マリアノ・プエルタに競り勝って、「19歳2日」の若さで初優勝を達成。全仏オープンでの初出場初優勝は1982年のマッツ・ビランデル以来となり、大会でも4番目の年少記録だった。10代の男子テニス選手が4大大会で優勝したことも、1990年の全米オープンに「19歳28日」で優勝したピート・サンプラス以来15年ぶりの快挙であった。

その後の4大大会では不本意な早期敗退に終わり、ウィンブルドンは2回戦でギレス・ミュラールクセンブルク)、全米オープンは3回戦でジェームズ・ブレークアメリカ)に敗れている。しかし2005年度はATPツアーで年間「11勝」を挙げ、そのうち「ATPマスターズシリーズ」(男子テニスツアーで、4大大会に次ぐ大規模トーナメント群。年間9大会を指定)では、モンテカルロローマカナダマドリードの4大会で優勝した。

2006年のシーズンでも、ナダルATPツアー大会決勝戦フェデラーに4連勝を記録した。同年5月、第7回「ローレウス・スポーツ賞」の「最優秀新人賞」を受賞。2006年にはクレーコートで、アルゼンチンギレルモ・ビラスが持っていた「53連勝」の記録を更新する。全仏オープン決勝戦ではフェデラーに 1-6, 6-1, 6-4, 7-6 で勝ち、大会2連覇を達成。クレーコートでの連勝記録を「60連勝」に伸ばし、それまで4大大会シングルス決勝戦で負けたことがなかったフェデラーに、初めての黒星をつけた。同年のウィンブルドンでも初めて決勝に勝ち上がったが、全仏に続く2大会連続決勝対決となったフェデラーに 0-6, 6-7, 7-6, 3-6 で敗れた。(大会4連覇を達成したフェデラーは、試合終了後「芝では負けられなかった」と話した。)全米オープンでは振るわず、準々決勝ロシアミハイル・ユーズニーに 3-6, 7-5, 6-7, 1-6 で敗れた。

2007年全豪オープンでは、ナダル準々決勝でチリのフェルナンド・ゴンザレスに完敗している。2007年5月20日、ナダルATPマスターズシリーズの「ハンブルク・マスターズ」決勝でフェデラーに6-2, 2-6, 0-6で敗れ、2005年4月から続いていたクレーコート連勝記録が「81連勝」でストップした。(これはフェデラーにとって、対ナダル戦のクレーコート初勝利であった。)この記録は、ジョン・マッケンロー室内カーペットコートマークした単一コートでの連勝記録「75連勝」を更新するものであった。直後の全仏オープンでは決勝でフェデラーを6-3, 4-6, 6-3, 6-4で下し、大会3連覇を達成する。ウィンブルドンでは3回戦で相次ぐ降雨順延・中断に悩まされるなど、ハードスケジュールの中で決勝に勝ち進む。フェデラーとの2年連続の決勝対決では 6-7, 6-4, 6-7, 6-2, 2-6 でまたも敗れたが、芝においても王者に肉薄しつつあることを十分に示す激闘だった。

2008年全豪オープンでは、初進出準決勝世界ランキング38位のジョー・ウィルフリード・ツォンガフランス)に 2-6, 3-6, 2-6 のストレートで敗れた。全仏オープンでは、決勝でフェデラーを 6-1, 6-3, 6-0 のストレートで下し、全仏ではビョルン・ボルグ選手以来2人目の4連覇を達成、全仏初出場から28連勝とした。ボルグは1978年-1981年にかけて全仏4連覇を達成したため、ナダルは27年ぶりの偉業を射止めたことになる。

全仏オープン終了後、6月のイギリスクイーンズ・クラブ選手権」において芝生コートでの初優勝を果たす。その勢いに乗り、ウィンブルドンで、5連覇中フェデラーとの「4時間48分」に及ぶウィンブルドン決勝史上最長の試合を 6-4, 6-4, 6-7, 6-7, 9-7 で制し、初制覇を成し遂げた。スペイン勢のウィンブルドン制覇は1966年のマニュエル・サンタナ以来2人目で、同一年での全仏オープンウィンブルドン選手権連続制覇は1980年のビョルン・ボルグ以来28年ぶりである。優勝を決めた自身のサービスゲームでは、フェデラーバックを狙ったサービスや、それまで1度も使わなかったサーブボレーなどの奇襲を駆使し、優勝を手にした。

ウィンブルドン優勝の後、ナダル北京五輪で男子シングルスの金メダルを獲得し、決勝でチリ代表のフェルナンド・ゴンザレスを 6-3, 7-6, 6-3 のストレートで圧倒した。これまでオリンピックテニス競技スペイン人選手の金メダル獲得はなかったが、ナダルが最初のスペイン人金メダリストに輝いた。8月18日、ナダルは初めて世界ランキング1位の座につき、フェデラーが保持してきた世界ランキング1位連続保持の世界最長記録を「237週」で止めた。左利きの選手としては、ジミー・コナーズジョン・マッケンロートーマス・ムスターマルセロ・リオスに続く歴代5人目の世界ランキング1位である。スペイン男子選手としてはカルロス・モヤファン・カルロス・フェレーロに続いて史上3人目となる。全米オープンでは初めて第1シードに選ばれたが、準決勝アンディ・マレーイギリス)に 2-6, 6-7, 6-4, 4-6 で敗れ、初の決勝進出を逃した。

2009年の全豪オープンでは、準決勝フェルナンド・ベルダスコ(同じスペインの選手)、決勝のフェデラー戦と2試合連続で長い5セット・マッチ(7‐5、3-6、7-6、3-6、6-2)を乗り切り、ハードコート・グランドスラム初優勝を飾った。全豪オープン優勝スペイン人としては、はじめてである。

2003年5月28日にマヨルカ天文台で発見された小惑星が、この島の出身者であるナダルにちなんで「ラファエル・ナダル (小惑星)」 (128036 Rafaelnadal) と名づけられたこともよく知られている。

ラファエル・ナダルのプレースタイル

ナダルガッツポーズ
2007年全仏オープン決勝・フェデラー戦にて

強靱な左腕から繰り出す強烈なトップスピンと比類無きコートカバーリングラリーを支配する稀代のベースラインプレイヤー。4歳の頃から慣れ親しんだクレーコートでは鬼神の如き強さを誇る。

圧倒的なフォアハンド・ストロークフットワークアンフォースト・エラーの少なさ、桁外れの身体能力,そして何より絶対に折れない精神力を武器としている。特に全仏オープン4連覇の実績からもわかるように、バウンドが高く球足が遅いクレーコート(赤土)は、ナダルの強烈なトップスピンや驚異的なフットワークが最大限に活かされる場であり、絶対的な強さを誇っている。クレーコートではベースラインよりかなり後方で構え,スライドを生かした鉄壁のディフェンスと刃物のように鋭いカウンターで試合を制する。

スイングスピードが極めて速く、フォアハンド・ストローク破壊力,正確性は世界最高クラス。回り込んでの逆クロスへのフォアは彼の大きな武器の1つである。他の追随を許さない回転量を誇るトップスピンを生かし、ボレーでしか狙えないような厳しいアングルベースラインの後ろから狙い、エースを取ることができる。トップスピンの威力は凄まじく、ショットは他の選手の数倍重い(一般のトッププロは2000?3000回転/分と計測されているが、ナダルのそれは3000?5000回転/分以上を計測されている)と言われており、その威力はフェデラーが「信じられないくらい強い」と話すほどである。 フォアに比べてあまり注目されていないが、バックハンド・ストロークフォアよりフラット系で、非常にスピードがあり強力である。追い込まれた状態から放つランニング・ショットでさえ抜群の威力を誇り,アンフォースト・エラーが極めて少ないのも、ナダルの強さの大きな要因の一つである。サーブは球速こそ190km/h前後であるが、凄まじい回転が掛かっていて非常に重く曲がるため、対戦相手は攻撃することが難しい。特にワイドに逃げていくスライスサーブは、急激な変化により対戦相手を完全にコートから追い出すことができる。そのワイドへのスライスサーブからのサーブボレーは、相手にとってはわかっていてもどうしようもない「残酷な戦術」と言われる。ボレーの技術も以前に比べ向上していてミスが減り、嵐のようなハードヒットの合間に突然放たれるドロップショットも相手にとって脅威である。

ネットに出てきた相手に対して放つパッシング・ショットは非常に強烈な回転で激しく上下動するため相手はボレーする事が通常に比べ格段に困難になり,必然的にミスが増えてしまう。ボレーヤー到底届かないアングルへのパッシング・ショットナダルの尋常ならざるトップスピンがあってこその武器である。

不可能と思える体勢から逆襲するカウンターは、ナダルだけが持つスーパーショットである。相手からすれば決まったと見えるショットにも、天性の読みと反応・足の速さで追いつき、体幹の強さで倍返しにしてしまう。したがって、「ナダルに対してはエース級のショットを3本打たなければポイントが取れない」などと言われている。

メンタル面も非常に優れている。ジョコビッチ試合後ナダルは全てのポイントマッチポイントのようにプレーするんだ。」と語る程の精神力を持ち合わせている。 フェデラーが常に冷静に淡々と事を運ぶタイプであるのに対して、ナダルは声を荒げてショットを放ち、派手なガッツポーズをするなど自らを鼓舞して能力を引き出すタイプであるが、両者ともどれほど不利な状況になろうと絶対に試合を投げ出さない。またその豪快なイメージとは裏腹に、ペットボトルラベルの向きを気にしたり、サーブに入る前の動作など、神経質ともいえる彼独特の一連のルーティーンをこなしている。しかし、その野生的なプレースタイルの代償としてケガが非常に多い選手でもある。

ラファエル・ナダルの4大大会優勝

全豪オープン:1勝(2009年)

全仏オープン:4勝(2005年-2008年、大会4連覇)

ウィンブルドン:1勝(2008年)

大会 対戦相手 試合結果
2005年 全仏オープン アルゼンチンの旗 マリアノ・プエルタ 6-7, 6-3, 6-1, 7-5
2006年 全仏オープン スイスの旗 ロジャー・フェデラー 1-6, 6-1, 6-4, 7-6
2007年 全仏オープン スイスの旗 ロジャー・フェデラー 6-3, 4-6, 6-3, 6-4
2008年 全仏オープン スイスの旗 ロジャー・フェデラー 6-1, 6-3, 6-0
2008年 ウィンブルドン スイスの旗 ロジャー・フェデラー 6-4, 6-4, 6-7, 6-7, 9-7
2009年 全豪オープン スイスの旗 ロジャー・フェデラー 7-5, 3-6, 7-6, 3-6, 6-2

◇出典: フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)『ラファエル・ナダル』より
取得日:2009-02-04

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